料理茶屋「菊の井」の看板酌婦・お力はいつも陽気に振る舞っているが、胸のうちには人に言えない鬱々とした気分が渦巻いている。昔なじみの客で、今は落ちぶれ果て裏長屋に暮す源七は、いまもお力を忘れかね、女房子供を思いやることも出来ず、喧嘩のはてに追い出してしまう。
インテリで裕福な客・結城と出会い、惹かれ始めたお力は親のこと、生い立ち、自分の心の底を打ち明けるが??
社会の底辺で、出自や境遇、時代の運命に支配される人生を精一杯生きた女お力は、抗うことのできぬ運命に押しながされてゆきます。
登場人物の切ない心情が胸をうつ、樋口一葉二十四歳の傑作にあめんぼ座が取り組みました。西垣の過不足ない語り、お力の圧倒的な情感、結城の瀟洒な立ち姿、お高の子を思う心情、お照の初々しさ、源七の狂気、お初の哀切な長台詞、そして悲劇の大団円ののち、にぎやかな三味線のお囃子のなかに浮ぶ登場人物の影。それぞれご好評を頂きました。
スタッフ
演 出:土居原作郎
演出助手:柳沢佐和子
金森 順子
美 術:板坂 晋治
音 響:岡田 有弘
照 明:三前 貴志
舞台監督:恵島 良樹
製 作:牟禮美榮子
キャスト
語 り:西垣 瑩子
お 力:柳沢佐和子
お 高:中原茂々代
お 照:藤田 雅子
結 城:西野 孝子
源 七:泉谷 聖子
お 初:南 数美
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